子宮の病気でよくみられるのが、子宮筋腫と子宮内膜症。どちらも命にかかわる病気ではありませんが、不妊や流産の原因になることがあります。定期的に検診を受け、気になる症状があれば婦人科で診てもらいましょう。
どんな病気?
子宮筋腫は、子宮の筋肉組織が異常に増殖し、良性の腫瘍ができる病気。命にかかわる病気ではありませんが、筋腫の場所によっては不妊や流産の原因になります。30〜50歳代の女性の「4人に1人」は子宮筋腫があるといわれますが、無症状のことが多く、気づかないことも珍しくありません。最近は20歳代にも増えてきています。
どんな症状がでるの?
子宮筋腫の症状の有無は、筋腫の場所や大きさによりますが、筋腫が小さい場合はほとんど自覚症状がみられません。一生気づかないこともあります。自覚症状で多いのは、月経時の出血量が増えた、経血にレバーのような血のかたまりが増えたなどの月経異常です。こうした症状がつづいている人は、一度、婦人科で診てもらいましょう。
どんな治療や検査をするの?
子宮筋腫の検査は、問診のあと内診で筋腫の有無や大きさを調べ、超音波検査で筋腫の数や場所を特定するのが一般的です。筋腫がみつかっても、日常生活に支障がなければ経過を観察します。症状が強くなったり、不妊や流産の原因になっていると考えられるときは、薬物療法や手術療法を行います。
どんな病気?
子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている内膜組織が、子宮以外のところに発生する病気。子宮外にできた内膜組織も、本来の子宮内膜組織と同様に、ホルモンの影響を受けて増殖・はく離をくり返します。子宮内膜組織は経血として排出されますが、子宮外に発生した内膜組織は排出される出口がないため、腹腔内にたまって炎症を起こしたり、周囲の組織に癒着します。命にかかわる病気ではありませんが、不妊の原因になることも。月経のある女性の10人に1人はかかっているとされ、増加の傾向にあります。
どんな症状がでるの?
子宮内膜症の自覚症状でよくみられるのは、激しい月経痛です。とくに、“月経のたびに痛くなる”場合は注意が必要です。ほかに、腰痛や吐き気などがみられることもあります。また、周囲の組織と癒着が起こると、月経時以外にも下腹部に痛みが生じることなどがあります。
どんな治療や検査をするの?
子宮内膜症の検査は、まず、問診、内診、超音波検査を行い、子宮のようすを調べます。そして、子宮内膜症の疑いが強い場合には、血液検査などでさらに詳しく調べます。治療には薬物療法と手術療法があり、病気の進行度や症状の重さ、妊娠希望の有無などで治療法を選択します。日常生活に支障がなければ経過を観察することもあります。