月経は女性の健康のバロメーター。月経周期がおかしい、月経痛がひどいなどの月経トラブルがあれば、心や体になんらかの不調や病気が隠れている可能性があります。いつものことと見過ごさず、婦人科に相談しましょう。
月経がはじまった日から、次の月経がはじまるまでを「月経周期」といいます。月経周期は28日が基本とされていますが、多少ずれることもあるため、25〜38日以内なら心配はありません。しかし、月経が月に2〜3回あるほど月経周期が短かったり、数カ月に1回しかないくらい月経周期が長い場合は注意が必要です。将来不妊症になったり、病気が隠れている可能性があるため、婦人科で調べてもらいましょう。毎周期が24日以下を「頻発月経」、39日以上を「稀発月経」といいます。
なお、月経がはじまって数年という場合は、卵巣機能が不完全なため月経周期が安定しないことがあります。更年期に月経周期が短くなるのも、卵巣機能の低下による生理現象です。また、ストレスや不規則な生活、環境の変化などによって、一時的に月経周期が乱れることもあります。
月経のたびに、強い下腹部痛や腰痛が起こることを「月経困難症」といいます。つらい痛みの原因は、子宮の収縮を促す物質プロスタグランディンの過剰分泌や、冷え、ストレスなど。プロスタグランディンには痛みを促す働きがあるため、過剰に分泌されると子宮の収縮が強まり、痛みが増します。また、体が冷えたり、ストレスやムリなダイエットなどで自律神経のバランスが崩れると、血行が悪くなって骨盤内に血液が滞り、プロスタグランディンの分泌が盛んに。さらに、月経をうっとうしいと思っていると、必要以上につらく感じることがあるようです。
一方、月経困難症だと思っていた痛みが、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気からきていることもあります。「最近、急に痛みがはじまった」「月経以外のときにも痛むことがある」などの症状があれば、すぐに婦人科を受診しましょう。
痛みの緩和には、骨盤内に血液が滞るのを防ぐことが大切。また、規則正しい生活や十分な睡眠、こまめなストレス解消も心がけよう。
妊娠や閉経以外の理由で、今まであった月経が3カ月以上とまることを「無月経(続発性無月経)」といいます。
おもな原因は、女性ホルモンをコントロールする脳下垂体や視床下部の機能低下や、卵巣や子宮の故障。とくに多いのが、ムリなダイエット、摂食障害による激やせ・激太り、仕事による過労や精神的ストレスで視床下部の機能が低下し、無月経になるケースです。無月経を放置すると、治療をしても月経を起こすのがむずかしくなり、不妊になる可能性もあります。無月経が2〜3週間つづいたら、すぐに婦人科を受診しましょう。
なお、18歳になっても初潮がないことを「原発性無月経」といいます。原因は、ホルモンの異常や染色体異常といった機能的な異常や、膣や卵巣がないといった器質的な異常。原因をつきとめて治療を行います。